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金沢地方裁判所小松支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人安東四郎を判示第一の(一)の罪につき懲役弐月に、判示第一の(二)第二の(一)(二)の罪につき懲役五月に、同川村親男を懲役参月に各処する。

理由

第一、被告人安東四郎は、法定の除外事由がないのに、

(一)別表1乃至5記載のとおり昭和三十三年十一月十三日頃から昭和三十四年四月二十日頃までの間三回に互り加賀市片山津温泉ヒ一番地芸妓置屋業福井家こと松本ハナヱ方外一ケ所に於て、予て求職の申込を受けていた尾上和子外四名をその頃求人の需めを受けた右松本ハナヱ外一名に対し芸妓として働くことを斡旋し、雇主である同人外一名から手数料として合計金六万円を受領し、以つて有料の職業紹介を行うと共に業として他人の就業に介入して利益を得

(二)別表6乃至10記載のとおり昭和三十四年五月二日頃から同年六月二十一日頃までの間四回に互り同市片山津温泉乙六九の四一番地芸妓置屋業仲吉家こと荒田津弥子方外三ケ所に於て、予て求職の申込を受けていた牧昌子外四名をその頃求人の需めを受けた右荒田津弥子外三名に対し芸妓又は女中として働くことを斡旋し、雇主である同人外三名から手数料として合計金四万三千円を受領し、以つて有料の職業紹介事業を行うと共に業として他人の就業に介入して利益を得

第二、被告人安東四郎同川村親男は、共謀の上法定の除外事由がないのに

(一)別表11、12記載のとおり同年六月二十一日頃同市片山津温泉ヒ十番地芸妓置屋業三桝家こと河中こずゑ方に於て、予て求職の申込を受けていた上野民子及び矢野君枝の両名をその頃求人の需めを受けた河中こずゑに対し芸妓として働くことを斡旋して同人より手数料として合計金二万四千円を受領し、以つて有料の職業紹介事業を行うと共に業として他人の就業に介入して利益を得

(二)別表13乃至15記載のとおり同年七月一日頃前記河中こずゑ方外一ケ所に於て、予て求職の申込を受けていた小野重子外二名をその頃求人の需めを受けた右河中こずゑに対し芸妓として働くことを斡旋し、以つて有料の職業紹介事業をなし

たものである。

なお、被告人安東四郎は、昭和三十四年四月十三日大分地方裁判所に於て職業安定法違反罪により各懲役一年四年間各刑執行猶予の言渡を受け、この判決は同年同月二十八日確定したもの、被告人川村親男は、昭和三十一年五月七日(同月十日確定)大分地方裁判所に於て職業安定法違反罪により懲役一年六月に処せられ、当時右刑の執行を受けおわつたものである。

(証拠説明は省略する。)

法律に照すに、被告人安東四郎の判示第一の(一)の有料職業紹介の点は包括的に職業安定法第三十二条第一項、第六十四条第一号に、他人の就業に介入利益収受の点は包括的に労働基準法第六条第百十八条に該当するところ、これと判示前科に係る犯罪とは刑法第四十五条後段の併合罪であるから同法第五十条に則り未だ裁判を経ない判示第一の(一)の有料職業紹介違反罪、他人の就業に介入利益収受罪につき処断すべきところ、右は一個の行為にして数個の罪名に触れるから、刑法第五十四条第一項前段第十条に則り、犯情の重い有料職業紹介違反罪の刑に従い、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内に於て同被告人を懲役二月に、判示第一の(二)第二の(一)(二)の有料職業紹介の点は包括的に職業安定法第三十二条第一項第六十四条第一号(第二の(一)(二)につき刑法第六十条を加う)に、第一の(二)第二の(一)の他人の就業に介入利益収受の点は包括的に労働基準法第六条第百十八条(第二の(一)につき刑法第六十条を加う)に該当するところ、右有料職業紹介と他人の就業に介入利益収受とは一個の行為にして数個の罪名に触れるから、刑法第五十四条第一項前段第十条に則り犯情の重い有料職業紹介違反罪の刑に従い、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内に於て、同被告人を懲役五月に処し、被告人川村親男の判示第二の(一)(二)の有料職業紹介の点は包括的に職業安定法第三十二条第一項第六十四条第一号刑法第六十条に、第二の(一)の他人の就業に介入利益収受の点は包括的に労働基準法第六条第百十八条刑法第六十条に該当するところ、右有料職業紹介と他人の就業に介入利益収受とは一個の行為にして数個の罪名に触れるから、刑法第五十四条第一項前段第十条に則り犯情の重い有料職業紹介違反罪の刑に従い、所定刑中懲役刑を選択して処断すべきところ、同被告人には判示前科があるので、同法第五十六条第五十七条に従い累犯加重をした刑期範囲内に於て、同被告人を懲役三月に処する。

以上の理由で、主文のとおり判決した。(昭和三四年八月一〇日金沢地方裁判所小松支部)

(別表は省略する。)

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